離散型システムのための会話型シミュレーションシステムの実現を目的として本研究を開始した。当初、大型計算機上での実現を前提とし、実行プログラムとしてSimulaを選定して、システムを部分的に実現してきた。ところが、昨今のハードウエアの急速な進歩により、大型機よりもパーソナルコンピュータ上で実現することによって、利用者との親和性のより高いシステムの構築が可能となることが明らかとなった。 シミュレーションシステムとしての基本設計自体は従来どおりであるが、本年度重点的に研究を行った部分は、モデル構成要素の論理動作指定と、それらから実行効率の良い逐次実行プログラムを生成する方法、およびマンマシンインターフェースの改善の2点であった。前者については、一般条件付き待ち合せ機構と名付けたアルゴリズムを開発し、このアルゴリズムがほとんど全ての場合に適用可能であることを確認した。後者については、Smalltalk-80による本システムの実現から、多重ウィンドウ、メニューを用いたインターフェースが、利用者との親和性を高める上で非常に強力な道具となることがわかってきた。 ワークステーションの範囲に含まれる機械ば非常に安くなり、また作成したシステムの移植性を考慮すると、UNIXの元でCあるいは【C^(++)】を記述言語および目的言語として実現するのが最も良いとの結論に達したため、本年度はこの方向での実現を目指した。現在使用可能なパソコンはPC-98XAで本年初めまではOSとしてはMS-DOSだけが使用できたので、MS-DOSの元でシステムの一部をCによって実現し、UNIXであるPC-UX1Vを導入した時点でUNIXに移る方針で作業を進めた。PC-UX1Vの発売の遅れから現在はまだOSそのもののテストをしている段階で、本年4月以降に移植作業を開始する予定である。
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