脳波・眼球運動および筋電図の時空間的計測による神経系の複合情報処理様式の研究

1986 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 61550296
• 研究機関: 名古屋工業大学
• 研究代表者: 石井 直宏 名古屋工大, 工学部, 教授 (50004619)
• 研究分担者: 太田 龍朗 名古屋大学, 医学部, 講師 (00109323) ; 岩田 彰 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (10093098) ; 池田 哲夫 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50005253) ; 鈴村 宣夫 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (10023102)
• キーワード: 脳波 / 眼球運動 / 筋電図 / 波形認識法 / 非定常波形の検出 / 睡眠紡錘波 / 律動性眼球運動

研究概要

神経系の情報は脳波、眼球運動および筋電図等の多次元の観測量として現われる。すでにわれわれは脳波、眼球運動および筋電図を同時計測し、意識および睡眠の深さの定量化の研究を行い、良好な結果を得ている。さらに本研究では、睡眠脳波中に現われる特微的な波である睡眠紡錘波に注目し、睡眠の深さとの関係について検討した。睡眠紡錘波は12〜14Hzの帯域の特微的な波であるが持続時間が短い非定常な波である。本研究で従来の脳波波形認識法を改良したダブル・スタンダード法を提案し、非定常な波を検出、認識するのにきわめて有効であることを示した。この方法を脳表面の全体に適用し、睡眠紡錘波の発生の順序など空間的情報の伝達について検討を加えた。その結果、前頭部,頭頂部,側頭部にかけて、睡眠紡錘波の出現の周波数の差違を定量的に計算できることが示された。しかし左と右の対称とする脳部位について有意の差は見られないことが示された。さらに睡眠の深さとともに、睡眠紡錘波の周波数が、わずかながらも上昇する傾向のあることが明らかとなった。これらの詳細な知見は、本研究で提案したダブル・スタンダード法によって明らかにされ、かつ本方法が従来のコヒーレンス法といかなる関係にあるかも示すことが出来た。
眼球運動については、二次元の律動性眼球運動を取り上げ、二次元上の視標に追従する眼球運動がいかなる動作特性を示すかを実験とそのデータ解析を行い、明らかにして来た。ここでは二次元上の律動性眼球運動が水平成分と垂直成分のベクトル和で表わされるものか、あるいは二次元上の方向と大きさによって表わされるものかという2つの仮説を立てて実験を行った。その結果、二次元律動性眼球運動は律動の振幅である大きさと角度によって制御されるという意味のデータ解析結果が得られた。さらに詳細な検討を進めて行きたい。

研究成果

• [文献書誌] 横山清子,細川,中,石井直宏,高田和之: 電子通信学会論文誌(D). No.2vol.J69-D,. 241-247 (1986)
• [文献書誌] H.W.Chen;N.Ishii;,M.Sakuranaga;K.Naka: The Fifteenth NIBB Conference,Proceedings.vol.15. 63-84 (1986)
• [文献書誌] H.W.Chen;N.Ishii;N.Suzumura: International Journal of Systems Science. 5vol.17,No.741-774 (1986)
• [文献書誌] 石井豊子,上田賀一,石井直宏,寺島正義: 日本ME学会誌. vol.24 No.7. 68-73 (1986)
• [文献書誌] 上田賀一,石井直宏: 電子情報通信学会論文誌(D). vol.J70 No. 225-233 (1987)
• [文献書誌] 上田賀一,石井豊子,石井直宏: 電子情報通信学会論文誌(D).
• [文献書誌] 石井直宏,星宮,塚田,井出: "生体情報工学" 森北出版, 245 (1986)