研究概要 |
ロボット工学に用いられている各種技術を障害児の感覚教育に応用することを目的として、本年度では、パーソナルコンピュータによる基本教育システムの構成をおこなった。このシステムには標準品のマウス,ジョイスティック等の入力装置と、カラープロッタプリンタ,ビデオデイジタイズ装置なとの出力装置を装備している。研究は次のようにすすめられた。 (1) 障害児用入力装置の試作 各種のセンサを利用したスイッチボックス,キースイッチ,タッチパネルの試作とそれらのインターフェース回路の製作をおこなった。特にここで用いているタッチパネルは、マトリックス型圧覚センサの概念を利用したもので、タッチの加圧力と位置が検出できるものである。 (2) 基本的抽象概念の提示のプログラム製作 基本的な抽象概念として色,形,大小,数,高低,音階などをいろいろなキー入力に従って提示するグラフィックのプログラムを作成した。ここでは特に、教育のレベルと対象者の状況に最も適当なプログラムが選択できるような体系とした。 (3) 教育システムの利用と効果の評価 この教育システムは今年度数名の障害児に適用され、特に基本的な形や色の概念の教育(認知発達)に効果があった。また、実物の人形や積木などとグラフィックスを対応させて教育するプログラムも効果が高く、またゲーム的要素も一部有効であることがわかった。 今後の発展については、動きの表示方式の開発、教材自体にセンサ機能をもたせること、実際の教育効果について基準を設けて定量的に評価することなどがあげられ、引き続き研究をすすめてゆく。
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