関西新空港のモデルとして、浮遊式構造によるものが提案・検討されたことがある。このように浮遊式構造により大型の海上空間をつくり出すことは可能であるが、構造が大型化するにつれ相対的に剛性が小さくなるなど、構造が小さい時の概念をそのまゝ適用できるかどうかには検討が必要となる。 本研究では水深180m程度の外洋に大型の浮遊式構造物を設置することを想定し、その部分モデルの製作・送風装置の製作・及び造波水槽での実験を目的としている。 モデルは関西新空港の案を参考に水槽の大きさなどから実機の1/300とし、その部分モデルを製作した。長さ1.5m・幅64cm・深さ3・5cmのデッキを外径6cm、高さ18cmのフーティング付のカラム21個(7×3)で支持する構造で6本のワイヤで緊張係留した。デッキ・カラムともにアクリル製で、デッキはポリウレタンのマットでおおってある。 送風装置はモデルが大きくなったことに応じて吹出口を2m×0.3mにし、変動風が自動的にかけられるように周波数インバータの改造、及び積極的に乱流を作り出すことを目的として吹出部に弁を設置出来るようにした。 実験は造波水槽上に送風装置をセットし、風のみ・波のみ・風と波を同時に作用させた実験を行い、索の張力・デッキの変位・デッキの歪などが計測された。 現在実験結果の整理中ではっきりした事は言えないが、剛性が小さくなったことで非線形応答が起きやすくなっている、カラムの多数性などを考慮して小型の海洋構造物用の解析プログラムを改良する必要があることなどが言える。
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