研究概要 |
本研究では, 操船者の持つ航行環境に関する知識と推論方法を調べて航行環境を評価するためのエキスパートシステムを試作した. まず, エキスパートシステムに関する文献の収集を行い方法論と航行環境を分析する方法の検討を行った. これらをもとに航行環境の評価に関連する諸要素を階層構造化して, その重要度を階層化意志決定によって求めた. これらの作業と併行して操船者の操船行動を定量的に把握するために海上交通実態調査方法の改善と操船シュミレータの利用方法について研究を進めた. 本研究ではあらゆる場合の航行環境の厳しい狭水道を夜間に航行する場合を対象にした知識構造を明らかにすることに重点をおいた. この観点から, 夜間操船シミュレータを用いて航路標識の視認性の実験と航路航行中の偏位認知実験を行った. こられの結果から航路標識の位置, 灯質, 数などが距離の認識精度と位置の確認精度に与える影響を評価することができた. さらに輻輳する海域に設置された工事区域を操船者がどの様に避航するかをレーダを用いた海上交通実態調査によって明らかにした. そして, 得られた操船者の知識構造をもとに二つのエキスパートシステムを試作した. その一つは障害物回避のためのエキスパートシステムであり, 他の一つは他船と衝突回避のためのエキスパートシステムである. 操船判断にはあいまいさが存在するので, いずれのシステムでもこれを考慮した. これれのシステムの有効性はシミュレーションと実測値とで検証した.
|