研究概要 |
幅15cm×高さ20cm×長さ2.2mで, 鋼材比が釣合鋼材比近傍となるIII種PCばり(PC鋼材にはφ17mmを1本使用)を作成し, 繰り返し荷重の大きさを次の3とおりとした疲労試験を実施し, 疲労寿命, 破壊形式, 繰り返し荷重による圧縮鉄筋及び引張鉄筋の応力の変化を測定し, 土木学会標準示方書による疲労寿命推定式の妥当性について検討した. (1)最小荷重をひびわれ荷重以上とし, 繰り返し鉄筋応力が片振り荷重となるようにした. (2)最少荷重をひびわれ荷重以下とし, 応力振幅が(1)と同じ大きさになるようにした. (3)最小荷重をひびわれ荷重以下とし, 鉄筋の最大応力が(1)と同じ大きさになるようにした. 本実験の範囲内で得られた結果ならびに考察をまとめると次のようになる. (1)繰り返し荷重下の鉄筋応力の変化は, 最小応力の応力域にほとんど影響されず, 示方書規定の疲労寿命寿命算定式でほぼ妥当な寿命推定が行える. (2)疲労寿命算定に限って言えば, 鉄筋の拘束を考慮しない方法の簡便式によって求めてもさしつかえない. (3)荷重繰り返しに伴って鉄筋応力は変動するが, それによる推定疲労寿命の変動はたかだか5%であり, 推定精度上から無視できる. ただし厳密な算定を行う場合には, 処女載荷による残留変形の影響を十分考慮する必要がある.
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