研究概要 |
LANDSAT MSSデータから抽出した流域積雪面積情報を用いて、北海道から北陸にわたるわが国の降雪地帯における積雪量分布の地域性を明らかにし、積雪面積情報を用いた流域積雪水量算定モデルを総合化した。本研究で対象とした流域は、北海道・東北・上信越・北関東及び北陸の28の多目的ダム流域で、解析に用いたLANDSATテータは、1979〜1984年のLANDSAT2,3,4号のデータのうち、3〜6月の期間で対象地域が雲などでおおわれていない34シーンである。積雪面積情報は、(1)GCPの決定(バンド6)、(2)座標変換とりサンプリング、(3)積雪・無雪域の判別(バンド5)に従って抽出した。流域積雪量は水収支式によって算定し、降水量・流量等の水文量は多目的ダム管理年報によった。また、蒸発散量の算定にはHamon式を適用した。積雪面積情報による流域積雪水量の算定には、小池・高橋・吉野のモデルを用いた。この場合、積雪水量の高度分布特性が直線高度分布しており、その傾きが融雪期には一定になるという仮定を用いているが、山地多雪小流域における融雪モデルによる融雪量の計算結果より確められた。対象とした28流域に対する積雪水量算定モデルの適用結果は良好で、モデルの汎用性が示された。また、その結果得られた積雪水量の高度分布の地域性に関して、国土数値情報と地形図から得られる緯度・平均標高・最低標高:標高差:平均勾配・流域面積・日本海海岸からの距離・八方位のうち北〜西向き斜面の面積率などの地形特性との相関を線形重回帰分析によって検討し、(1)東北、(2)上信越・北関東、(3)北陸の各地域区分毎に相関の高い要因が抽出され、回帰式によりモデル化された。この結果、積雪水量の高度分布特性が地域により決定され、積雪面積情報から積雪水量堆 モデルの任意の流域への適用の可能性が示された。
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