研究概要 |
直線状河川には水深程度の直径をもつ並列した縦渦群が存在し, これが流れの3次元流速分布の主因であり, 主流方向に剥離う伴わない水理条件では縦渦に対応した河床形状が形成されるであろうことが航測写真や可視化実験から推測されている. しかし, 縦渦の流速は主流の2〜3%であり, これを直接実測し, その実態や河床形状との関係を解明することは従来困難であった. 本研究は, 近年開発された高精度のレーザ流速計を用いて2次流の流速分布を, また, 超音波測深器を用いて河床形状を計測することにより, 流れの縦渦部と河床の縦筋との関連性を検討したものである. まず, 一様砂を用いて平坦河床移動床からどのような機構で縦渦が発生し, 縦筋が形成されるかに研究の焦点をしぼった. すなわち, 平坦河床上に通水し, 縦筋が形成されるまでの発達過程での流れの乱流構造や流速分布を2成分レーザ流速計で計測し, 主流速分布や上昇流・下降流がどのように発生するかを時間の経過とともに観測した. 次に, 上流側に人工的なリッジを置き, この下流で縦渦・縦筋がどのように形成されるか比較検討した. 最後に, レーザ流速計とホットフィルム流速計による同時計測を行い, 縦渦を直接実測することに成功した. 主な結果は次の通りである. 1)縦渦・縦筋の形成過程で, 主流速分布は, トラフ上でふくらみのある分布を示し, 全体的に高速になる. 一方, リッジ上ではトラフ上ほどふくらみは見られず, 直線分布に近い形状をなし, 全体的に低速となる. 2)トラフ上で下降流, リッジ上で上昇流となり, 縦渦と縦筋とは互いに強い相互作用を及ぼしている. 3)トラフ上での掃流砂はリッジ上より大きく, 河床が横断方向に凹凸分布を示し, これが流砂量の3次元横断分布を示す原因である.
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