拡幅比が10〜50の直線水路と2次元水槽から成る実験水域において、上流部から長時間、定常的な給水と給砂を行い、その堆積および底床変形過程を詳細に計測した。その結果、砂州の形成の初期段階では、流れは噴流の様相を呈し、砂州は横断方向にはあまり広がらずに、流下方向に伸びていくが、やがて砂州長が大きくなると、砂州前縁部での水流のもつ土砂流送能力が低下し、砂州の前進が一時停止して、横方向への拡大が進行することが見出された。堆積がさらに進行して砂州の中央部が高く盛り上がると、横断方向に流路が形成され、急激な侵食が生じるようになる。分岐した流路は弯曲流路としての性質が強く、外岸側で侵食、内岸側で堆積が生じることにより、急速に直線化していく。直線化した流路上では、しばらく一次元的な河床変動が進むが、やがて、河床の上昇とともに土砂輸送能力を失い、流路が消滅する。その後、砂州面の中央部が高く盛り上がると、再び横断方向に流路の分岐が生じ、以後、同様の過程を繰り返しながら、平均的にはほぼ相似形を保って砂州が拡大していくことが明らかになった。 また、デルタの形成に伴って、その影響が上流水路部へ遡上し、長い時間にわたって河床がほぼ平行に上昇していくことも明らかとなった。 上流水路部に交互砂州が形成される条件下では、交互砂州と三角州上の流路が干渉し合って、かなり複雑な流路変動を呈するが、大局的には、交互砂州のない場合と同様に、流路の消長を繰り返しながら、ほぼ相似な三角州の発達することがわかった。 さらに、個々の流路に着目して、2次流の発達状況や、河岸侵食、流路の発生、消滅機構について、詳細な計測を行い、予測モデルを構築する基礎を築くことができた。
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