研究課題/領域番号 |
61550380
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
森杉 壽芳 岐大, 工学部, 教授 (80026161)
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研究分担者 |
大野 栄治 岐阜大学, 工学部, 助手 (50175246)
加藤 晃 岐阜大学, 工学部, 教授 (10021560)
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キーワード | 土地利用 / 住宅立地 / 居住地選択モデル / 余剰 / 付け値 / 地価 / 市場均衡 / EV(等価的偏差) |
研究概要 |
本年は主として、1.居住地選択モデルの構築、2.住環境便益測定法の開発について研究を進めてきた。1.については、(1)余剰最大化問題、(2)ランダム付け値モデル、(3)宅地市場均衡からのアプローチを試みた。(1)のアプローチ:ローリーモデルのフレームワークにランダム効用理論を適用して世帯の立地選択行動を定式化すると、その行動は地域全体としての通勤およびサービス施設利用に関する交通余剰最大化問題の解として表現でき、これにより世帯の行動論的背景を考慮した土地利用モデルを構築した。しかし、土地市場の需給バランスで決まる地価を外生的にしか扱えないところが問題として残る。(2)のアプローチ:世帯の宅地に対する付け値を確率変数として扱うことにより、世帯の立地パターンを確率的に表現するような居住地選択モデルを構築した。しかし、「確率的」の元となる分散パラメータの推定方法が明確でないところが問題として残る。(3)のアプローチ:効用最大化行動理論に基づき非土地保有者の宅地需要行動、および土地保有者の土地供給行動と新規宅地需要行動を定式化して宅地需要関数、および土地供給関数を得、さらに宅地市場に均衡理論を導入することにより均衡地価と世帯の住み替えを同時に求める居住地選択モデルを構築した。しかし、土地保有者の土地供給行動を定式化する際に、困難を避けるためにキャピタルゲインの効果を無視しているところが問題として残る。 2.についてはEV(等価的偏差)の概念に基づく便益測定のアプローチを試みた。具体的には、世帯に対してCES型効用関数を特定化し、住環境変化の便益を地価変動で測定可能にした。しかし、ここでは都市モデルにスモール・オープンを仮定しており、このモデルに存在する世帯効用レベル一定という仮定が一般に成立するかどうかが疑問として残る。
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