研究概要 |
1.生活圏レベルを生計機能が営みうる程度の居住生活単位に限定するとともに、そこで不可欠な最低限の地域施設サービスの種類と水準ならびにその立地分布の実態について実証分析を行った。対象地域としては主として中国地方の島根県匹見町を取り上げた。 2.上記の対象地域について、人口,地理的条件,土地利用形態,交通条件などに関する各種の統計指標を収集するとともに、これらの統計データを用いて対象地域の過疎化の実態について構造分析を行った。その結果、地理的条件,土地利用形態,交通条件ならびに人口分布によって規定される社会経済基盤水準が過疎化と密接に係わっていることが分かった。 3.対象地域の住民に対して、生活環境についての意識調査を実施した。その結果、60才以上の老人は概ね生活環境について満足しているものの、若年層になるにつれて不満と感じる者の比率が高くなることがわかった。また、多変量分析手法を適用した結果、生活環境の不満度につながる社会経済基盤因子を抽出することができた。 4.対象地域に実際に立地する主として民間レベルの商サービスや医療サービス施設などを対象に経営分析することにより、それらのサービスの形態と水準が周囲の居住人口の規模や分布,地理的条件,土地利用形態交通条件等とどのように係わりあっているかについて分析を行った。このような目的から、まず、対象地域住民ならびに各種のサービス施設の経営者を対象に聞き取り調査を行った。ついで、これらのデータを基に経営分析手法を適用し、生活を支援する各種の民間地域サービスが経営的に成立しうる最低限の水準(しきい値)を特定するとともに、当該サービスがどの程度経営的に成立しているかを計量的に明らかにした。
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