研究概要 |
上部構造からの鉛直力の有・無, および群杭の構成要因(杭本数・間隔など)が, 群杭基礎の終局状態に至るまでの水平挙動性状に与える影響について, 実験と理論の両面から明らかにすることを目的とした研究を行った. 本年度は, 鉛直力無の単杭と杭間隔を4段階変化させた4本群杭, および鉛直力有・無の9本群杭について, 実験を実施した. また, 開発・提案した解析法と一連の実験結果との比較検討をも行った. これらの研究によって新たに得られた知見および成果を要約すれば, 以下のとおりである. 1.杭間隔Rが変化する場合は, 一般にRが大きくなると単杭の挙動性状に漸近し, 群効果が次第に薄れる. ただしR=2D(D:杭径)では, 地盤中のアー4効果により他の間隔とは異った挙動性状を示す. また極限状態に達する水平変位は, Rの増大に対して減少し, その時の水平力は逆に増加する. 2.杭本数nが変化する場合は, 本数nの増加に伴って杭基礎の水平抵抗剛性は減少し, 群効果が顕著となっていく. また, 極限状態に至る水平変位はnが増すと増大してゆき, 杭基礎の変形性能が高くなる傾向が示された. 3.鉛直力の有・無に関しては, 前者は水平変位の増大に伴った鉛直力による付加曲げの影響が次第に卓越するため, 極限状態に至るまでに水平力Hはピーク値をもち, その後は低下する現象が現われる. これに対し, 後者では極限時まで水平力は増加性状を示す. また, 極限時の水平力および変位とも後者の方が前者より大きな値を示し, 鉛直力の影響が明確となった. 4.地中応力を介しての相互作用現象, 群杭の構成要因により異る塑性地盤反力, および杭体の弾性, 弾塑性から全塑性に至る特性を考慮した解析法を開発した. なお一連の実験結果と比較検討し, 杭間隔が小さい群杭では終局水平耐力を若干過少評価するが, 極限に至るまでの挙動性状については全体的に良く説明できる結果を得た.
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