研究概要 |
本研究は、強風時自然風の乱流構造を解明し、構造物に作用する風圧力分布との関係を明らかにすることを目的としている。これまでの研究によって、以下のような点が明らかになった。 1.強風時変動風速の統計的諸量は等方性乱流理論に基づくKa,rma,n型の表現によって予測できる。とくに平均流方向成分のパワースペクトルは無次元周波数10程度まで実測データと非常に良く一致する。 2.また同一高度面内での、変動風速の横方向のコヒーレンスはKa´rma´n型の理論式で良く説明でき、平均流直角方向成分(水平)の横方向の乱れのスケールが平均流方向成分の縦方向の乱れのスケールの約1/2になるなど、概ね自然風の平均流方向成分は等方性乱流場の基本的性質を有している。 3.しかしながら、平均流直角方向(水平、垂直)の風速変動は等方性乱流理論から予測される結果に一致せず、パワースペクトルはむしろ平均流方向の風速変動と同じ性質を示した。 4.また平均流直角方向成分(垂直)の横方向の乱れのスケールは平均流方向成分の縦方向の乱れのスケールの約1/4〜1/5となった。乱流格子を用いた風洞実験での測定結果より、構造物表面の圧力分布について、以下のようなことが明らかになった。 5.乱れの縦方向のスケール=約5cm、乱れの強さ5%の風洞乱流に対して、5cm正方角の試験体表面のよどみ点側での変動圧力は乱流スペクトルとほぼ同じスペクトル形状を有する。しかし試験体表面圧力の2点間相関係数は、乱流場での2点間相関係数よりも相関値の低下が大きい。2点間距離が大きいほど、また乱れのスケールと試験体寸法との比が大きいほど、この傾向は大きくなると考えられるので、他の寸法比での実験検討を加えたい。
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