研究概要 |
シァーコネクターを介して、鉄骨ばりとコンクリートスラブを緊結した合成ばりは、鉄骨ばりとスラブの合成効果により、その弾塑性性状は純鉄骨ばりとは異なった様相を示す。また、合成ばり架構の剛性,変形性能,崩壊荷重等も上記理由により純鉄骨ばり架構のそれらとは違った性状を有する。本研究は合成ばり架構と純鉄骨ばり架構の強震時の弾塑性挙動の相違を電算機とアクチュエータを直結して地震応答解析を行う解析システムを用いて明らかにするものである。昭和61年度は合成ばり及び、合成ばり架構の基本的な力学的挙動を得る目的で、単調載荷或は定変位振幅繰り返し載荷を受ける-層-スパンの合成ばり架構(実物の約1/2)の載荷実験を行った。 結果をまとめると次のようである。1.単調載荷時の合成ばり架構の復元力特性は少なくとも塑性率10までは安定である。一方、繰り返し載荷時の安定履歴曲線が得られる限界変位振幅は、塑性率約2.5までで比較的小さな値を示した。2.合成ばり架構の最大耐力は、純鉄骨ばり架構の最大耐力の約1.17〜1.37倍の値をスラブ厚に応じて示した。3.繰り返し載荷時の合成ばりの安定履歴曲線が得られる限界振幅は、正曲げ側で塑性率3.0〜3.5,負曲げ側で塑性率2.7〜4.7を示した。4.合成ばりの等価断面二次モーメントとして、正曲げと負曲げの断面二次モーメントの平均値を用いるとよい。この時のスラブの有効幅は、スラブ断面内の幅方向の応力度分布を鉄骨柱のフランジ幅を上底とする台形分布に仮定し、その合力が台形の高さと等しい高さを有する長方形分布の合力と等しいとしたときの長方形の他辺の長さとした。5.コンクリート圧壊時の合成ばり架構の水平耐力は、スラブ厚を変えても、はりの一端が正曲げ全塑性モーメント,他端が負曲げ全塑性モーメントのときの架構の水平力にほゞ等しい。
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