室内温熱環境の向上を計りつつ冷暖房用エネルギー消費量 (コスト) の削減を計るため、対流およびふく射による熱供給の両形態を併用した室内放熱方式を提案し、また、ふく射源でもある潜熱蓄熱材をサンドウィッチした吸放熱壁体に、深夜電力を利用し蓄熱させると共にに、活動時間帯と睡眠時間帯での室内環境の要求品質は異なるものとして、ドラフト感の積極的利用 (冷房時活動時間帯) と排除 (睡眠時) による区分けを考慮して、次のような検討を行った。 1.可変風向装置を付加した間欠冷風併用の冷房方式による冷房実験。主として、間欠周期と吹き出し温度の相違と寒暑感などの検討。 2. (ふく射パネル+対流) 暖房方式の実験。主として、吹き出し位置とパネル面および吹き出し温度の相違と寒暑感の検討。 3.温感センサーによる室内環境の制御実験:室内気温維持を目標とした通常冷暖房制御方式と、気温、ふく射、風速、気湿 (一部) 、作業量、着衣量を総合的に勘案したT_f温、PMV、ET^*に基づく温感計器による直接制御との比較実験。主として間欠冷風時と微風状態での計器制御の問題点の把握。 4.潜熱蓄熱パネルと放熱方式の組合せ実験。主として、潜熱蓄熱材の吸放熱特性の把握。 5.室内モデルによるシミュレーション。主として負荷率と冷温水温度の相違およびエネルギーコストによる把握。 結果として、複合型室内放熱方式については、温感的にもエネルギーコスト的にも概ね良い結果が得られているものの、潜熱蓄熱パネルについては余り良い結果とはなっていない。目的に叶った潜熱蓄熱材、コスト増と快適感増大の価値評価など、今後の問題として残されている。
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