本研究は、従来の給排水負荷設計法および配管設計法が静的かつ定常的で略算法に近かった点に着目し、より精度の高い設計法が求められている現状に対応するため、動的な検討を試みるものである。 本年度は、2年間の研究の第1年度であり、大学院生及び4年生に作業を分担させて、これまで当研究室で蓄積してきた調査資料を通覧し、器具利用に関わるデータの処理を行った。これは本研究の第一段階として基礎データの整備を実行したものである。 次に上記データを用いて、モデル配管を対象として器具および水の使用状況を再現するためのコンピュータシミュレーションのプログラムを開発した。特にこのプログラムは、同時使用による圧力変動を考慮しており、瞬時給水負荷を動的にとらえることができるように工夫されている。また、このシミュレーション結果を検証するため、2種の実配管に器具4個を設置し、上記のデータをコンピュータ出力することにより、実際に即した水使用状況を再現して、瞬時給水負荷の測定を行った。結果は十分な推似性が確認され、今後さらに複雑な配管モデルに展開する基礎を築いた。 実態調査は、ホテル及び高層事務所ビルを対象とし、ホテルは客室及びゾーンの瞬時負荷を実測した。事務所ビルは過去の使用水量データを管理部門から入手した。現在これらのデータを分析中である。 以上の検討を次年度も継続し、主題の目的を達成する予定である。
|