研究概要 |
本年度は, 昨年度作成した壁面近傍気温測定装置の一部を改善し, 恒温室内に設置した模型壁面ならびに実際の室内壁面を対象に測定し, 検討した. 1.壁面近傍気温測定装置の改善;この研究では, 対流熱伝達率は, 壁面近傍の気温勾配と空気の熱コンダクタンスより伝達熱量を求め, この値を壁面温度と壁面から10cmの位置の気温との差で除して求めている. 本研究では, 1)表面温度は壁面近傍気温勾配より推定する. 2)実際の室内の壁面測定対象にするため, 従前に比べ, センサーの測定壁面への速やか, かつ正確な移動および設置ができるよう改善した. 2.模型壁面(平面壁, 取合い部分)の対流熱伝達率の測定:平面壁では, 熱伝達率は床から25cmの位置において最小値, 50cmで最大値をとり, 更に上方になるに従い漸減する傾向を明らかにした. また取合い部分については, その近傍では, 壁面中央部に比べ熱伝達率は小さくなる傾向を確認した. 3.実際の室内壁面の対流熱伝達率の測定:暖房時の対流熱伝達率について測定した. 対流熱伝達率特性については現在解析中であるが, 熱伝達率の値は模型壁面と略同様2〜3kcal/m^2h°Cである. 4.今後の研究計画について:(1)今回の測定方法によって, 実際の室内壁面を対象とした対流熱伝達率測定が可能であることは確認したが, 暖冷房時は吹き出し気流に起因する室内気流があるため, 対流熱伝達率の定量化に当っては, この室内気流の把握方法を確立する必要があると考える. (2)本研究では実際の室内壁面を対象としたため, 壁面から0.5〜3mmまでの気温勾配より熱伝達率を求めてきたが, 模型壁面における結果からみると壁面上方ならびに取合い部分については, 更に基礎的な研究が必要と考える. 上記の室内気流等の問題点を解明した後, 室内側熱伝達率値を提案したいと考える.
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