研究概要 |
1.住宅の通風計画を系統的かつ効果的に行うことを目的として, 中層の集合住宅群および戸建住宅群について風洞実験を行い, 通風の駆動力となる壁面風圧係数分布について検討した. (1).既存の住宅団地におけるアプローチフロー, 建物周辺気流, 壁面風圧および室内気流分布の実測結果を基に, 縮尺1/300の住棟群模型による風洞実験を行い実測結果に対する再現性を検討した. その結果, アプローチフローの平均風速および乱れの強さのプロフィルを実測値のそれと相似に作成すれば, 壁面風圧分布および住棟間気流分布を良く再現できることが分った. (2).しかしながら, 自然風における不規則な風向の変動を風洞内に再現することが困難であるため風圧分布の一部に再現性の不良な部分も見られる. (3).室内気流分布に関しては, 縮尺1/20の住戸模型による風洞実験を行った. それによると接近流の乱れの強さが流入開口の圧力損失係数, 風上側室内の流速分布および乱れの強さに及ぼす影響は顕著であること, さらに実験値の乱れの強さを実測値のそれに近づけることにより風上側し室内の流速分布をよく再現することが明らかとなった. 一方, 風下側室内の気流分布についてはその影響は小さいことが分った. 2.縮尺1/400の住棟群模型による風洞実験によると, 容積率が大きくなるほど風上, 風下側の平均風圧係数差は小さくなることが分った. 3.縮尺1/100の戸建住宅群の風洞実験結果についても, 上記2と同様の傾向を示すことが分った. 4.LESによる室内気流の数値解析とその模型実験を行い, LESの適用の可能性を検討した結果, 完全な乱流状態でない遷移状態の流れ場についても適用できることが分った. さらに, 2次元流れ場についても予測手法としては効果的である.
|