研究概要 |
日本の実情に対応した障害児者のための住宅計画の要点についてまとめると, 次のように整理できる. 1.住宅内では浴室・便所に不便が集中するため, 段差のない, 洋式への移行が望まれ, 日本住宅にあっても180cm×180cmの広さが求められる. 2.食事室は自立層の場合, カーペト敷きも有用であるが, 歩行困難層では板張りが望まれているため, イス式に相応した洋室が求められる. 3.団らん室は多目的な生活行為を充足するため, カーペット敷きへの改善で対応できるが, 茶の間型の和室=タタミ敷きでも日常生活が可能である. 4.就寝室は未だタタミ敷き, フトンの型が多く, ベット+洋室への移行は容易に進まないが, カーペット敷きへの希望は顕著である. また, 就寝室とトイレとの位置関係では介護上負担になる型や室通過型は避け, 直接行き来ができ, 空間的に半連結した型が望まれる. 5.子供室は障害児者の場合, 介護中心の層は専用化しにくい. しかし, 日常生活行為のうち, 「フトン敷く」等の行為が自立した過程で, 専用化した子供室を与えることも求められる. 専用室の場合は6畳, 共用室では8畳が生活行為の面から妥当な規模である. 6.室間関係では, ワンルームタイプが全般的に有利であるが, 年齢や介助必要層によっては隣接し合う室を保障し, プライバシィとコミュニケーション, 各室に対応した床様式などの保障をすることも求められる. 7.障害児者のための住宅は"same-level-floor"でるあことを基本的に遵守し, 歩行能力と介護程度に対応した解決策を求める. 以上, 現在, 和室=タタミ敷き中心で生活している脳性麻痺障害児を抱えた世帯から, カーペット敷き, 板張りへの志向, イス敷きへの志向等の芽ばえを把握し, 主体類型ごとの計画指針を得た.
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