研究概要 |
広場型複合施設である愛知県地域文化広場6施設(豊田・岡崎,豊川,一宮,半田,瀬戸の各地域文化広場)の空間計画に対する分り易さを利用者アンケートによる認知心理学的(一対比較法の応用)方法で実験を行った結果から得た知見を整理すると次の通りである。 1.広場型複合施設の場合、広場に面する部屋が認知される傾向があり、広場に面してどの様に開放的に諸室を見せていくかが1つのポイントである。 2.広場型複合施設の各施設は、ホール,吹抜,中庭を持っタイプの空間の分り易さが高く、吹抜は特に上部階の分り易さを向上させる傾向がある。 3.空間構成の分り易さは、階段,ホールにかなり影響され、階段・ホールから離れるに従い、空間の分り易さが低下する。したがって、階段・ホールから如何に近い位置に各諸室を配置するか、または階段・ホールからどの様に連続的に各諸室に導くか(見える等)が大事な点である。 4.基本的に建物の階が増す程、利用者が感じる施設全体の分り易さは低下する。 5.施設内の諸室の分り易さの判断は、判断の道具が室名板のみの場合は近距離ではその諸室の分り易さに多いに有効だが、他の判断の道具が同時に存在した場合はその効果は薄れる。 6.室名板以外の諸室の分り易さに対する判断の道具は、遠距離において諸室の存在を促すものとなる。 7.室名板が無い諸室の分り易さは、近距離においても低いものとなる。 8.室名板による諸室の分り易さは、距離による個人差は少ないが、室名板以外の判断の道具は距離による個人差が大きい。 次年度以後、広場型複合施設を更に実験し、積層型施設の実験を加えて分り易さの研究を進める。
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