研究概要 |
複合型地域公共施設18施設を予備調査し, 空間構成のタイプ分類による廊下・中庭型である田原地域広場とホール・吹抜型である豊川勤労福祉会館の典型的な2施設を調査対象として選定し, 1.情報の視認から見た空間評価, 2.利用者行動から見た空間評価の2つの視点から調査分析を行った. 1.情報の視認から見た空間評価 (1)目的室探索行動モデルの設定-建築空間内における目的室の探索には, 推測, 探索, 確認の3段階の行為があり, またそれらの行為を可能とする情報には図形情報・中間情報・空間情報の3種類の情報が関係し, 部屋の位置等により, それらの行為と必要情報が異なることが分かった. (2)形態別視認情報量 視認エリア, 利用者動線との関連分析-中庭・吹抜を有する建築では, それらに面する部屋の視認エリアが拡大し, 探索行動を容易とし, 動線のバラつきが無くなる等の効果があることが分かった. 廊下型では廊下交差部で視認情報が増し, ホール型はホール全域で視認情報量が多いことが分かり, それぞれ中庭・吹抜等の効果をとらえることができた. 2.利用者行動から見た空間評価 (1)目的室探索における経路選択の分析-経路選択は距離が等しくても曲り角の少ない経路を選択する傾向と中庭等がある場合には中庭側に動線がより付くという誘引効果があること, しかしそれも夜間照明が中庭に無い場合はその効果が消えることが分かった. (2)目的室探索における行動パターンの分析-共用部分を1m×1mのメッシュで区切り, ビデオによって利用者の行動をとらえて分析すると, 吹抜等により広い視野が得られても, それを補完する情報が与えられていないとその視野の広さを有効に活用できず, まよう等の行動がかえって現われることが分かった.
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