研究概要 |
本研究は, 公共施設をはじめとする種々の都市施設から商業・業務施設までを対象にして, それら施設の機能・用途の相互関係と物理的空間の共用可能性に着目し, 単独機能・単体施設として存在している施設の中で一体化できるものを集め, 多機能複合型施設へと再編していく都市整備の考え方について, その可能性を探るための基礎的な調査と分析を行ったものである. 対象地域に京都市の中心街区を選び, 主要6街路, 各々約1km沿いにあるすべての施設について, 位置と機能あるいは用途とその分布状況を特定する調査を行った. 公共施設としては, 数が多くてその配置の理論や実態が定かでない交番・公衆便所等からポスト, 電柱, 標識といった小さな施設をとりあげ, 地図上にそれらの設置場所をプロットしていく作業を行った. さらにそれら各施設についての分布間隔を統計量として求め, その特徴をふまえて都市景観整備のために小さな公共施設を一体化していくことの可能性を考察した. 一方, 街路沿いの建物については, そのすべてに対して商業統計上の業種分類を用いて, 各階の用途構成を調べ, それらをリレーショナルデータベース化する作業を行った. そのデータを用いて各業種ごと, 総店舗(テナント)数に対する階別分布比率(4段階)と通り別の分布比率(6街路)を求め, それらの値をクラスター分析で処理して, 似たような高さ(階)に位置することができる業種のグルーピング, 及び一つの通りを単位にした場合に, 近接して位置することの多い業種のグルーピングを行った. さらに5階建以上の建物を対象に階別業種構成を分析し, 複合用途建物として一棟の中に共に収めることができる業種の特定を行い, その場合の階別構成の特徴を考察した.
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