研究概要 |
1.建築デザイン誘導事例としての対象建築者の指導実態分析(調査A) 前年度実施した調査の調査対象地域である, 神戸市都市景観条例にもとづく4つの都市景観形成地域, およびポートアイランドにおける景観形成協定区域を取り上げ, 具体的な規制・誘導の根拠となるそれぞれのデザイン誘導基準と実際に竣工した建築物の基準適用状況の関連を明らかにする実態調査を実施し, その解析を行った. 概略の調査内容は, (1)自治体担当者への適用状況に関する面接調査 (2)規制・誘導の対象建築物の適用項目と適用状況である. また解析にあたっては, 前年度実施した対象建築物の建築主と設計者へのアンケート調査結果との関連分析を併せて実施した. この調査結果から, 各地域の建築物の適用状況と, それが建物属性の影響を受けること, 建築主・設計者の意識にも関連することが明らかになった. 2.建築デザイン誘導事例としての対象建築物の景観評価実験分析(調査B) 上記の対象建築物について, スライド写真およびビデオ撮影画像による景観評価実験を実施した. これについては, ビデオ画像による再現性に一定の成果を得たものの, 対象建築物の特定化と被験者の評価対象との格差が大きく, 対象についての精度の高い評価を得るにはいたらなかった. 実験手法上の課題を今後検討する必要があると考える. 3.建築デザイン誘導手法の評価に関する実際調査(調査C, D) 交付申請書に記したように, 伊丹市, 尼崎市の建築デザイン誘導制度について実施する予定であった当調査は, 予備調査の結果, 各事例の対象建築物数が統計上不足していることが判明したため, 今回の研究では見送ることとした. これについては63年度予定している自治体の意向調査および面接調査により補足する.
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