研究概要 |
捕収剤を吸着した粒子間には疏水性相互作用が働く. 浮選により目的鉱物と非目的鉱物を分離する場合には疏水性相互作用が分離成績の低下をもたらす原因となる. 本研究ではpH9.8でドデシルアミン水溶液中の石英, ヘマタイト間に生じる疏水性相互作用について基礎的検討を行なった. -10umのヘマタイト, 65〜100meshの石英を1:1に混合しpH9.8で浮選した結果, 粗粒石英の浮選性は単独試料で得られる結果より著しく減少した. 微粒ヘマタイト, 粗粒石英に対するドデシルアミンの吸着等温線は3×10^<-5>M以上でほぼ一致した. 単独試料の100%浮選性は粗粒石英でDAAの表面被覆率6%, 微粒ヘマタイトのそれは100%で得られた. 混合試料中の粗粒石英は表面被覆率6〜30%で浮遊しうるに充分な吸着量でるあにもかかわらず浮遊いにくくなることが認められた. 微粒ヘマタイト, 粗粒石英のゼータ電位を測定し, 吸着等温線と比較検討した結果, 粗粒石英に対してはDA^+イオントとDA分子の吸着が行るのに対し, 微粒ヘマタイトに対しては非解離アミン分子の毛管凝縮機構が関与することを推察した. 浮選条件の石英粒子表面を電顕観察した結果, DAA初濃度2×10^<-5>Mですでにヘマタイト微粒子は付着し始め, 5×10^<-5>Mで多量のヘマタイト粒子がヘテロ凝集していた. DLVO理論(球-平板モデル)を用いて粒子間に働く相互エネルギーのエネルギー障壁(Vn)を求めた結果, DAA初濃度2×10^<-5>MでVn〜65kT5×10^<-5>MでVn〜30kTであり, 付着量との間に対応性が認められた. 系の厳密な解析のためには疏水性相互作用の定量的考察が必要であることが認められた.
|