塩-水-有機液体系の相互溶解度特性を利用するエネルギー消費の小さい塩の濃縮・分離と有機液体回収法の開発を意図し、このために利用が有望視される有機液体として、TER(Tnethyl Amine)、DIPA(Di-iso-propyl Amine)、TBPO(Tributhyl Phosphine Oxide)、TEP(Triethyl Phosphate)、TBP(Tributhyl Phosphate)、EGBE(Ethylene Glycol Mono-n-butyl Elther)、TEGBE(Triethylene Glycol Mono-n-buthyl Ethar)ならびにDEGHE(Diethylene Glycol Mono-n-haxbyl Ether)を選び、水との相互溶解度、塩水溶液に対する溶媒効果、水-有機液体系に対する塩効果を278k〜333kにわたり調べた。 これらの水-有機液体系塩が加わると、顕著な塩効果が現われ、完全混合系でも2液分離が起り、部分混和系の2液域はさらに拡大する。この塩効果は塩の濃度と種類に依存しており、重金属イオンによる効果の差異はアコカチオン生成の自由エネルギーと関係付けられる。 硫酸塩水溶液に対する上述有機液体の溶媒効果については、2液分離域で塩は水相に濃縮され、均一溶液域では塩溶解度が低下する。したがってこれら有機液体は塩の濃縮分離に程度の差はあるものの何れも効果を有している。 有機液体の水溶液からの回収法としては、水との相互溶解度あるいは塩析効果の温度変化の利用が可能であることが判ったが、第三の有機液体による抽出分離も期待できる。例えばTEPやTEGBEは温度の上昇に伴って、水相からTBP相に移行し、TBP/水相間の分配比は333kでも数倍に達する。この傾向は塩の共存下でより大きく、硫酸の共存には殆んど影響されない。(TBPに抽出された水分は再び温度を低下することにより相分離される)上述の有機液体と水との分離にはすべて温排水などの廃熱が利用できるため、午廃液処理法に要するエネルギーは極めて軽微であると考えられる。
|