研究概要 |
従来の地表-地表からの探査に加えて, VSP法に代表されるような坑井を用いた探査が実施されはじめ, より詳細な情報を入手し, 地下をモニターする技術, ジオトモグラフィが注目され, 盛んに研究開発されつつある. しかしながらジオトモグラフィは, 技術体系がほぼ確立されている医学トモグラフィと異り, 技術的問題があり簡単ではない. 特に人体等を対象とするのと異り, データ収集に制約を受け, 像再生が不充分となる. 坑井内震源の使用が難しい現状では, VSP法に頼らざるを得ず, データ不足は避けられない. 本研究では坑井を利用した新しい地下探査法技術VSP法について, まず数値モデリングプログラムの開発を行った. 次いでジオトモグラフィの観点から, 簡単なフィルター逆投影法を用いた像再生法において, VSP探査におけるデータ欠如の影響について, 数値モデルならびに室内模型実験による物理モデルデータを使用して検討を行った. その結果, 地表と一坑井では通常医学分野で用いられているフィルター逆投影法で必要とされるデータの千数%, 二坑井ではその倍でデータの欠如は極めて広範囲であり, その再生結果も不充分なものとなることがわかった. 探査対象とする場所にもよるが, 地表に電源を設置するVSP法では特に多くのデータを必要とするフィルター逆投影法では限界がある. ART法, 回折トモグラフィ等の他の地震トモグラフィにおいても同様と考えられ, このため坑井内震源の開発・利用が不可欠である. 坑井内震源の利用が可能となると50%のデータ欠如となり, 坑井深度の1/2以浅の範囲では, 直線波線によるモデリングではかなり地下構造, 物性値が再現された. しかし, ジオトモグラフィでは地震波は回折, 散乱する. このため, 医学で広く普及しているフィルタ逆投影法をそのまま応用するには問題がある.
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