研究課題/領域番号 |
61550466
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
花崎 紘一 京大, 工学部, 助教授 (20026123)
|
研究分担者 |
塚田 和彦 京都大学, 工学部, 助手 (10179971)
藤中 雄三 京都大学, 工学部, 教授 (50025855)
|
キーワード | ワイヤロープ / 平行線ロープ / 残存強度 / シミュレーション / 引張試験 |
研究概要 |
PWSロープ(よりのない平行素線を束ねたもの)の素線の劣化に伴う残存強度の低下の様相を把握するために行った実験の結果は、予め電算機で行ったシミュレーションの結果とほぼ一致し、シミュレーションに用いた理論およびモデルが妥当であることが判明し大きな成果を挙げた。 すなわち、実験ではPWSロープの各素線に種々段階の人工損傷を与えた試料を作成し、引張試験機により引張荷重を徐々に加え、最終的に破断状態に達するまで引張試験を行った。そのときに得られた引張荷重とロープの伸び量の関係を表わす曲線および破断荷重が電算機によるシミュレーションの数値モデルとしては、一部分で異なった横断面積をもつ同じ径の弾塑性体の素線を束ねたモデルとし、境界条件として、それら素線の両端での変位を強制的に与えることにした。この計算の方法は、引張試験機による実験の場合と同様に徐々に変位を増加させてゆき、それぞれの段階での各素線の応力および各部のひずみを計算していくものである。このように計算を進めていくうちに応力値が所定の大きさに達した場合にはその素線が破断したものとし、それ以後は荷重を受け持たないようにする。計算は素線が受けもつ全荷重がピークを越え下降を始めてしばらくしたところで打切った。 この成果にもとづき、今後はよりのある一般のワイヤロープについてもこの手法を用いて解析していく計画である。この場合はよりがあるため、素線間の摩擦を考慮する必要があり、PWSの場合よりはかなり複雑なシミュレーションになるものと思われる。しかしながら、昨今の電算機の高速化巨大化を顧みれば、大きな成果が充分期待される。
|