研究課題/領域番号 |
61550466
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
花崎 紘一 京都大学, 工学部, 助教授 (20026123)
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研究分担者 |
塚田 和彦 京都大学, 工学部, 助手 (10179971)
藤中 雄三 京都大学, 工学部, 教授 (50025855)
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キーワード | ワイヤロープ / 非破壊試験 / 電磁探傷 / 曲げ疲労試験 |
研究概要 |
前年度に引き続き電磁探傷記録からロープの残存強度を求める方法の研究を続けた。とくにロープの構造の違いによる残存強度の違いを実験的に調査した。すなわち構造の異なる2種類のロープについて曲げ疲労試験を行い、ロープが次第に劣化していく過程において、継続的に漏洩磁束探傷と全磁束測定を行った。これらの記録と、疲労による劣化の兆候(ロープ全体の伸びや素線断線の発生状況)や、疲労試験の後に行った引張試験によるロープの残存強度との関係について検討した。試料のロープは直径16mmの7×7+6×Fi(29)で、芯ストランドと側ストランドの空隙にポリプロピレンでコーティングを施した鋼線をフィラーとして配置したDFロープと、そうでない従来のFロープの2種類である。疲労試験の設定安全率を4〜8の範囲として行った結果次のような知見が得られた。 残存強度と表面に現われている素線の断線の数の関係は、同じ強度を示す場合、DFロープの方が断線の数が多い。また、その数と強度は劣化の初期からほぼ比例している。しかしFロープでは劣化の初期にはDFロープほど断線が現われないので、表面断線のみでは残存強度の推定はできない。これらの違いはDFロープの内部に配置したポリプロピレン線による応力分布の差異に起因すると考えられる。すなわちFロープではロープの中心に応力が集中し断線が内部から発生していくからである。したがって、従来のFロープでは外部からの目視だけでは不充分であり電磁探傷などによる内部の様子を反映するような手段を用いて監視しなければならないことが実験的に証明することができた。すなわち、このようなロープの内部の情報を精度よく非破壊的に計測できる装置の開発が必要である。
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