研究概要 |
微動の到来方向を決定する方法の一つに1測点における3成分の観測記録から求める回転スペクトル解析がある. しかし, 3次元振動のスペクトル解析については, まだ不明確な点が多い. 本研究では, 3次元回転スペクトルおよび相関スペクトルを基礎とした3次元振動のスペクトル解析法を提案するとともに, 本手法を実測データに適用して, 微動の振動形態および振源方向について考察した. 本研究で得られた主な成果を要約すると次のとおりである. (1)地盤振動の3次元的形態を分析するための方法として3成分回転スペクトル解析法を提案した. 3次元回転スペクトル解析法は直交する3成分の振動スペクトルから, それぞれの周波数成分の振動面方位および粒子運動軌跡の形状を分析するものである. (2)地盤振動がすべて波動に起因するとの前提のもとに3次元振動の定常性を評価する方法を検討し, その定常性の評価には相関スペクトル解析が有効であることを示した. 特に3成分のコヒーレンスが不可決であることを指摘した. また, コヒーレンスと3次元回転スペクトルの併用により地熱振動の定常性のみならず, その振動の原因となる波動の定常性が評価されることを示した. (3)本解析法を地熱地帯および沖積平野における実測データに適用したことろ, 地熱地帯の振動はコヒーレンスが高く比較的定常性が高いのに対して沖積平野ではコヒーレンスが低く波動場の定常性が低いことが明らかとなった.
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