稠密六方構造をもつTi【O_(0.32)】単結晶および体心立方構造をもつ【VD_(0.81)】単結晶において、中性子散漫散乱の解析により、短範囲規則度を評価した。その結果、Ti【O_(0.32)】結晶では、酸素原子の占有する八面体格子間位置に対する最近接および第3近接位置は空孔となる割合が多いが、第2近接位置では酸素原子によって占有される確率が高いことが判った。また、【VD_(0.81)】結晶では、重水素原子は四面体格子間位置を占有するが、重水素原子によって占められた格子間位置より数えて、第3近接位置迄が空格子点となる割合が高いことを明らかにした。 散漫散乱強度の測定による短範囲規則構造の解析は、三次元逆格子空間内の強度分布の測定が要求されるために、莫大な測定時間を必要とする。ところで、侵入型合金における短範囲規則構造は格子間に侵入固溶した原子がクラスターを形成し、それが散在しているものとして見なすことができる。固体内に存在する格子間原子のクラスターや形状は、ブラッグ波長よりも長波長の中性子の小角領域の散乱強度の解析により、調べることができる筈である。そこで、この方法による解析の有用性を実証するための試料として、Nb-NおよびTa-N合金単結晶を作成した。また、二三の格子間原子クラスターのモデルについて散乱強度計算した。
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