シャフト炉プロセスは高炉以外の製鉄法として、資源やエネルギーを有する開発途上国において実用化が急速に進んでいる。しかし、シャフト炉法の原料から製品に至るまでの各々のプロセスおよびプロセス全体の評価に関する研究が不十分で、良質原料の開発や最適操業条件の検討などにより、生産性や省エネルギーに関して大巾な改善が期待できる。とくに、鉄鉱石をセメントで結合した非焼成原料の使用は環境保全の観点からも極めて有望である。 以上の観点から、本研究では、まず、非焼成ペレットの製造方法、被還元性および物理的性質などの基礎的研究を行ない、非焼成ペレットは含有水分や粉発生の問題を有しているものの被還元性が良好で、シャフト炉装入原料として有効であることを見い出した。 ついで、非焼成ペレットならびに塊鉄鋼石の実験室規模のシャフト炉による還元および乾燥の実験を行ない、装置への適用性を検討した。その結果、含有水分および還元過程における強度低下の問題を明らかにして、実プロセスへの適用が可能であることを見い出した。また、シャフト炉内での種々の現象は数学的モデルによる解析とシミュレーション計算によって確認されたので、広範囲の条件下における検討が可能となった。 最後に、エクセルギー解析の手法により、シャフト炉による還元鉄製造プロセスのエネルギー評価を行ない、非焼成ペレットを使用するプロセスは所要エネルギーが少なく、省エネルギープロセスであることを明らかにした。
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