研究概要 |
水素-金属学合金は, 水素貯蔵合金として工業的に重要であるが, 水素化物を形成する反応速度については学術的に殆ど解明されていない. 水素は(1)金属表面でH-H結合が解離し, Hの物理吸着から化学吸着に移る過程, (2)金属あるいは水素化物中の水素の拡散移動, (3)水素化物相と金属相の界面における祖転移の過程から構成される. これらの中で特にエネルギー差を要する過程が律速とみなされる. 水素-金属の反応は, 水素圧, 温度金属中の水素含有量の因子が律速因子であろう. しかしながら, 水素ガス中の不純物, 金属表面状態, 熱伝導度が条件に大きく影響してくる. 従って, 金属-水素学合金の反応速度は物質反応学固有であるカイネテイクスとは異なり, 超移動や物質移動の要素を含めた全体的な見かけの速度を意味している. 金属-水素学合金の反応速度特性を測定するために, 大科科学技術センター内, 水素吸蔵合金利用開発委員会から提供を受けた反応容器を用いた. また材料として、Lani_<4.9>AL_<0.1>とFeTi_<1.16>O_0.87の2種類の合金を使用した。 一定の実験手順を踏まえて、合金の水素化条件を一定とし、水素化反応の速度を調べた。その結果を以下に整理する。 (1)LaNi4.9Al0.1の測定結果 本学合金の平〓〓〓〓時間は, 2秒以内で90%に到達するが, 圧力センサーによっては, オーバーショートする現象がみられた. これは水素の断熱膨張の影響によるものである. (2)FeTi_<1.16>O_<0.87>の測定結果 本学合金は80゜Cで活性化を行ったが不活性のために, 150〜200゜Cで真空脱気する必要があり, 反応速度の測定以前に, 合金の活性化が大きい問題であることが分った.
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