金属-水素系合金は水素貯蔵合金として重要な合金であり、水素との反応速度の大小はこれを実用化するに際しての決め手になる第一優先因子である。 本研究では、初年度は金属-水素系の状態図の収集、次年度は、熱量測定の準備として、恒温型熱量計の製作を行った。特に、恒温型熱量計ではその精度が問題になり、精度に関しては2-3の標準物質で校正した。最後の年度に測定を完成した。 反応熱ΔHの直接測定を恒温型熱量計を用いて、LaNi_5、及び、FeTiのΔHの測定を行った。ΔHの値は、varit Hoffの式より求めた値と大きく異なる。 また、水素貯蔵合金が、水素を吸収して膨張し微粉化するが、そのΔVの大きさを実測できる装置を製作した。実験装置はジイベルト装置を組み込んだ恒温示差熱量計と熱膨張計を使用した。試料は、ΔHの測定には、LaNi_5、FeTiを、ΔVの測定にはLaNi_5を用いた。両者とも、平衡関係、P-T-Cの測定を同時に行った。LaNi_5は水素を吸収して、LaNi_5を形成するに際して、生成熱を発生するが、直接測定では、ΔHの値は、298Kにおいて、吸収で、-39.3、放出では+38.5KJ/mol・H_2、313Kにおいて、吸収で41.7、放出では40.3KJ/molH_2、いずれも、P-T-Cの測定から求めた値よりも約15%大きい。この理由は明確では無いが、P-T-Cの測定結果からのvarit Hoffの計算式には実験結果の精度が検討されていないことを指摘できる。これは、今後の検討課題となろう。 ΔVの測定の試料としてLaNi_5を用いた。平衡関係、P-T-Cの測定も同時に測定できる。LaNi_5→LaNi_5H_6形成の際のΔVを測定した。その結果は、ΔVは約10.5%に落ち着く事が分かった。
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