研究概要 |
真空ダイカストとホットチャンバー化の研究は, いずれもが長い歴史を有するが, 開発がそれぞれ独立に行われたため, ホットチャンバー真空ダイカストの開発は遅れていた. しかし, 両者を結合することによって, むしろ問題が単純化され, 単独にやったものより高い効果が得られることが予想された. 特に本研究は, グーズネックなどのように機械的作動部分が直接溶湯に接触することを避け, 真空とガス流の操作によって, 溶湯が簡単な給湯管を通って炉からショットスリーブ内に送られる方法を開発するために, 水による給湯模擬実験から始め, 低融点合金による実験まで行った. 今までに得られた結果を要約すると以下のとおりである. 1.真空系と電磁弁およびそれらの制御回路とを組合わせた給湯装置によると, 駆動圧力差△P Torrと給湯流量 Q cm^3/secの関係は, 水の場合, Qw=1,790×△P^<0.701>および低融点合金の場合 Qu=3,056×△P^<0.401>となった. 2.真空度が70 Torrの場合, 溶湯の射出速度が0.7〜2.0m/secの範囲で変化しても, 強度的には良好な製品が作成できる. 3.金型内の真空度が悪くなるほど, 金属組織的に不良品が出来やすくなり, 良好な製品製作が困難となる. 本研究は低融点合金を使用して大気ならびに真空状態において製品を製作し, 強度面および組織面から比較検討した. これにより真空ダイカスト法の妥当性を知ることが出来た. 今後は, 実際にアルミニウム合金を使用しての実験が必要である. ダイカストの本来の意味である「低コストで大量生産できる鋳造法」にするためには, 溶湯を確実に制御できるバルブ装置の作製が大きな問題となると考えられる.
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