研究概要 |
希土類-3d遷移金属化合物の水素吸収に伴う構造変化を系統的に調べ、多くのラーベス相R【M_2】化合物がアモルファス化することを見出した。得られた主要な結果は以下のように要約される。 1.水素吸収によるR【Ni_2】ラーベス相化合物のアモルファス化 R【Ni_2】(R=Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er)合金をアーク溶解し、均一化焼鈍後、300と773Kで5MPaの超高純度水素と反応させ、その構造をX線ディフラクトメーターと透過電顕により調べた。Nd【Ni_2】を除き上記合金は300Kですべてアモルファス化し、773Kでは【RH_2】とR【Ni_5】に分解することが明らかになった。アモルファス相の生成機構や生成過程を考察し、アモルファス化する合金を平衡状態図から予測する指針を提案した。水素吸収によりアモルファス化が起る合金の条件として【i】水素との親和力の強い元素を含む、(【ii】)融点が低いか、二つ以上の化合物に高温で分解するかあるいは非平衡相である、(【iii】)結晶中の水素の占有格子間位置がエネルギー的に不安定である結晶構造をとることが必要であると結論された。 2.水素吸収によりアモルファス化したCe【Fe_2】合金の磁性 水素吸収によりアモルファス化したCe【Fe_2】合金の磁化の強さとキューリー点はスパッタ法により作製し同一量の水素を吸収させたアモルファスCe【Fe_2】合金のそれとほぼ一致し、両アモルファス合金の構造の類似性が示唆された。水素はこの合金の磁化の強さを高める効果があるが、他方Gd【Fe_2】などでは逆に低下させることが分った。
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