研究概要 |
本研究の成果は, 次の3項に総括されてる. 1.鉄基複合粉末を実験室規模で製造するための, メッキ装置・方法を確立したことによって, 鉄粉末粒子上に均一で密着性良好なニッケル, ニッケルーリン合金, ニッケルーボロン合金等の無電解メッキが可能となった. 2.Fe-Ni, Fe-Ni-P複合粉末圧粉体の焼結過程を研究した. その結果, Fe-Ni-P, Fe-Ni-B複合粉末圧粉体はFe-Ni複合粉末圧粉体に比較して焼結が促進され, その焼結促進は主として昇温過程に生ずることを明らかにした. また, これらの焼結促進について考察し, その機構を提示した. 3.複合粉末を用いたFe-Ni-P, Fe-Ni-B焼結合金の機械的性質について研究した. その結果, Fe-Ni-P複合粉末焼結合金は混合粉末を用いた同種の焼結合金に比べて高強度・高延性であり, 特に延性の改善が著しいことを明らかにした. Fe-Ni-B複合粉末焼結合金は, Fe-Ni複合粉末焼結合金と比較すると同等の引張強さで, より高延性であった. Fe-Ni-P焼結合金の微細組織は, 2つの領域からなる複合組織を示した. 一方Fe-Ni-B焼結合金は, 球状気孔が分散した均一なFe-Ni-B合金組織を示した. これらの微細組織によって, 良好な機械的性質が得られることを提示した.
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