研究概要 |
本研究では爆発圧接法による黄銅/銅系,マルエージング鋼(以後M鋼と略記する)/Ti系,M鋼/Al系の三種の異種材料多層複合材およびTi多層材を研究対象とし下記の四項目について調べた。 1.良好な多層材作製の最適爆接条件:上記各系について素材箔の厚さ0.3〜0.6mmとし、各箔を交互に5〜7層積み重ね、爆薬は爆轟速度2400【mS^(-1)】級のものを用い、平行法にて作製した。最適爆接条件は系により多少異なるが、標準的条件としてはE/M比(爆薬量と飛翔板の質量の比)は1.5〜3,飛翔板の飛翔速度550m・【S^(-1)】,動的衝突角度10〜15゜で接合が良好で、欠陥のない複合材が作製できた。 2.黄銅/銅系多層複合材の接合界面波の解析:本系複合材は種々の爆接条件で典型的な波状界面を示す。接合界面波の振巾と波長との比はすべての爆接条件でほゞ0.2となるので、爆接条件と界面波の波長との関係を調べた結果、爆接条件のちがいにより、(1)爆薬側からアルビン側に波長が順次減少する場合、(2)逆に波長が順次増加する場合、(3)全体が均一な波長を示す場合の三つのグループに分類され、各箔の衝突時の運動エネルギー損失量と飛翔時の加速を考慮することにより、定量的に解釈できた。 3.Ti多層材の接合界面部の電顕観察:接合の際の高ひずみ速度変形により、界面部には多数の転位や変形双晶の発生、さらにTiのごとく熱伝導性の悪い材料では断熱せん断変形帯が形成し、変形帯内部には100nm程度のα相の微細等軸粒が認められた。今後は異種材についても研究の予定である。 4.M鋼/Ti系,M鋼/Al系複合材の機械的性質用いたM鋼は1123K-30min溶体化処理後773K-5h時効により、240Kg/【mm^2】級の強度を示す。本研究では上記熱処理後爆接をを行なったものと溶体化処理後爆接し、その後に時効したものの機械的性質を調べた結果、Ti,Al両系で後者の処理のものが前者に比べ、1.5倍高い引張り強度を示し、その値はROM則より予想される値より高い値であった。
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