研究概要 |
本年度は【Si_3】【N_4】と種々の金属との接合の可能性を調べ、接合条件の決定と接合機構を知るための研究を行った。接合実験は、【Si_3】【N_4】試片間にAl,Ti,Ni箔を挟み、小荷重下,真空中で1時間赤外線イメージ炉で800〜1200℃の各温度に加熱することにより行った。得られた接合体は、接合反応層について光顕,SEM,TEM観察およびEPMA,EDX分析を行い、反応生成物の固定を試みた。結果を以下に要約する。 1.Al箔の場合:800℃以上で接合可能であるが、1000℃,1時間加熱しても反応層中央に厚さ0.1μm程度の純Al層が残存していた。その外部【Si_3】【N_4】側に向ってAl濃度が減少する一方【Si_3】【N_4】濃度が増加し、Nも【Si_3】【N_4】中とは異なる状態で存在する事が示された。電顕観察によると、【Si_3】【N_4】と反応層が接する所には異相境界がなく、電子回折でも格子定数の変化が見られないことから反応層内には【(ALN)_×】【(Si_3N_4)_(1-×)】が生成されるものと結論された。2.Ni箔の場合:1200℃加熱で接合可能。Ni中へのSiとNの拡散が認められ、反応生成物が非常に脆いことからNiの硅化物が形成されているものと考えられる。 以上の純金属箔による接合では高温強度が期待出来ないため、2種の箔を組み合せて用い、接合実験を試みた。Al/Ti/Al3層箔の場合,800℃以上の加熱で接合可能。反応層内では【Si_3】【N_4】からAl中へのNの拡散が起こり、AlN,【Al_3】Tiなどが形成される。また、Al/Ni/Al3層箔の場合は1200℃加熱で接合可能。この時【Si_3】【N_4】側から金属側へのNの拡散が認められると共にAl,Niの合金化が起こる。生成相の同定は出来なかったが、2種の化合物が形成されているものと考えられる。 以上の結果を踏まえて、【Si_3】【N_4】をSUS304やNi基超合金と接合する場合に高温強度の高い熱応力緩衝層として金属間化合物を用いることの可否について今後検討したい。
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