研究概要 |
〔炭素の定量〕試料を湿式分解し、炭素を二酸化炭素として抽出する方法は、ショ糖標準溶液を用いた検討では0.03μgの微量炭素の定量にも成功したが、試料が細かい場合に相当量の水素が発生し、それがキャリヤーの酸素と爆鳴気反応を起こす問題の解決のために、キャリヤーガスに窒素を用いる方法を検討した。酸素中の炭素化合物の除去は従来の検討結果が利用できるが、窒素中の炭素化合物の除去はあまり検討されていない。しかし、加熱酸化銅とソーダタルクにより、ほぼ酸素と同程度にまで空試験値を減少させることができた。クロム酸含有強リン酸による試料分解法も検討したが、実用化には至らなかった。 一方、高温の酸素気流中で試料を燃焼する従来の燃焼法も検討した。この場合もショ糖標準溶液一定量を採取して定量したときは、上記と同程度の微量炭素の定量ができた。また、ケイ素中の炭素の定量に応用するための助燃剤として、銅,鉛,スズ,鉄,リン酸ホウ素などを検討したが、スズと鉄を多量に加えたときに燃焼がかなりよく行われた程度で、更に検討中である。〔水または水素の定量〕試料として電解コンデンサーに用いられるタンタルを選び、その表面の酸化皮膜の水の状態を検討した。すなわち、試料を100℃の炉中に入れ、アルゴン気流中に放出された水をナトリウムアミドでアンモニアに変え、そのアンモニアを電量滴定して水を定量した。試料加熱は100℃から100℃ごとに階段状に行い、それぞれの温度で放出された水分を定量した結果、タンタル表面の酸化皮膜上の付着水は少なく、酸化皮膜内に存在すると思われる結合水がかなり多量にあることがわかった。〔硫黄の定量〕硫化銀形銀イオン電極を用いた硫化物イオンの電量滴定法により、0.03μgの硫黄が定量できた。鉄(【II】)強リン酸による硫黄イオンの還元蒸留分離法を導入した。
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