研究概要 |
1.微粉酸化物の反応性 前年度に引き続き各種酸化物粉体のKClO_4熱分解反応に帯する反応促進効果をCCDイメージセンサーを用いたTG法により検討した。分解率が50%になるまでの加熱温度で各酸化物の反応性を比較するとNiO(380°C)>MnO_2(408)>CaO(450)>CuO(462)>V_2O_5(463)>α-Fe_2O_3(467)>PbO_2(507)>MgO(511)>α-Al_2O_3(541)>TiO_2(アナターゼ547)>ZnO(549)>SiO_2(無定形551)>酸化物なし(618)の順であり、遷移元素の酸化物が高い反応性を示す。しかしIIA族のCaOが例外的に遷移元素酸化物と同程度の反応性を示すが、この点は更に検討中である。酸化物粉体の固気系反応の一つとして、V_2O_5のSO_2による還元反応(2V_2O_5+SO_2〓V_4O_9+SO_3)を行ない、還元速度は寒面反応律速を仮定したMampelの速度式に従うこと、V_2O_5の調整温度を35°Cから400°Cまで上昇すると速度定数は減少し、反応性が低下した。これはV_2O_5のHall法で求めた格子症の減少に関連することが示された。この傾向は昨年度のV_2O_5とFe_2O_3との粉体反応の場合と同じである。 2.微粉酸化鉄(α-Fe_2O_3)の生成過程 粉体酸化鉄やフェライトの工業的製造は沈澱法で調製した含水酸化鉄やこれに2価金属を添加した混合含水酸化物を加熱脱水する方法で行なわれる。Mg^<2+>、Co^<2+>、Nc^<2+>、Cu^<2+>、Zn^<2+>、Al^<3+>、Cr^<3+>、などの異種金属イオン(Me)を共沈法、ゲル混合法、乳鉢混合法で添加した含水酸化鉄の加熱によるd-Fe_2O_3の生成過程をDTA,TG法で検討した。その結果、フェライトを形成するMeがα-Fe_2O_3の生成を抑制すること、Meの添加法が異なると水酸か鉄とMe相互作用が変化してα-Fe_2O_3の生成温度が変ることがわかった。 3.電気化学的方法による酸化物薄膜の調整 電解還元法により不銹鋼にZr-Cr-Tr-Cr系酸化物膜が調製できた。
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