研究概要 |
【PbZrO_3】-【PbTiO_3】-Pb(【Mg_(1/3)】【Nb_(2/3)】)【O_3】系固溶体について格子定数と組成との関係を調べた。この系には二つの成分方向の組成変動が考えられるため、それらを別々に求める方法を考案した。この方法によると、固体間反応で合成した試料には予想通りの大きな組成変動のあることが判明した。 上述の固溶体中のNbをTaで置き代えた系、すなわち【PbZrO_3】-【PbTiO_3】-Pb(【Mg_(1/3)】【Ta_(2/3)】)【O_3】系については二つの成分方向の組成変動を上述と同じ方法では直接には求めることのできないことが判明した。しかし、次の点に着目することにより三成分系の三角図標上での組成変動の広がりの形を求めることに成功した。(1)特定の格子面の間隔の変動の上限値,下限値に対応する組成は三角図標中で線として表わされる。(2)組成変動の広がりはこれらの線に接する。(3)種々の格子面について、面間隔の上限値と下限値に対応する組成線を描くと組成変動範囲はそれら全てに接しなければならない。 上記組成変動定量法の妥当性は次のようにして確認された。種々の組成の固溶体を混合することにより擬似的な組成変動を実現し、当該方法でこのものの組成変動範囲を求め、意図した形と比較した結果、良く一致した。さらに、【PbZrO_3】-【PbTiO_3】-Pb(【Mg_(1/3)】【Nb_(2/3)】)【O_3】系に対してもこの定量方法が適用できることが判った。 【PbZrO_3】-【PbTiO_3】-Pb(【Mg_(1/3)】【Nb_(2/3)】)【O_3】系固溶体をオキシンを用いて合成することに成功した。ここでは【Zr^(4+)】,【Ti^(4+)】,【Mg^(2+)】,【Nb^(5+)】の混合溶液をオキシンに滴下して沈澱体を得、これを乾燥,焼成したものとPbOとの反応を行った。その結果、良好な反応性を示した。合成された固溶体の組成変動は非常に小さかった。焼結性も優れ、1100゜C1時間の焼成でほぼ理論密度に達した。この材料の誘電率は従来方法で合成されたものの1.5倍も大きかった。
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