研究概要 |
今年度は特に次の二点について検討を行いそれぞれ下記のような結果が得られた. 1)表面にクラウン環をもつコロイド粒子(ベシクル)の調製法とそのイオン選択特性の評価に関する研究 従来の超音波分散法により長鎖クラウン化合物(C_<18>-OCH_2-18Crown6)とリン脂質(PE)分子の混合割合をいろいろ変えてベシクルを調製した所, 混合比で約10:1までクラウン化合物過剰の混合ベシクルの調製が可能であることが解った. また, 得られた混合ベシクルの凝集挙動(臨界凝集濃度)を測定した所, Ba^<2+>>Ca^<2+>, K^+>Li^+, R-N^+H>RN^+(CH_3)_3というクラウン化合物のイオン選択結合能に対応した安定性が認められ, 上記の方法でイオン結合選択性をもつベシクルの調製が可能であることが解った. 2)クラウン化合物の油水界面への吸着と分極電圧効果に関する研究 油相にC_8-OCH_2-18Crown6(60^<-2>M)を溶解させ, 水相に種々の金属イオン(1M)を溶かした際の電気毛管曲線を測定した所, 界面張力(γ)の低下の順序は, C_8-OCH_2-18Crown6との錯形成安定度の順(Ba^<2+>>K^+>L^+)に一致しており, 水相に錯形成能+大きい金属イオンを添加すると, クラウンエーテル化合物は界面に多く吸着して, γの低下を引き起こすことが解った. また, 疏水部にC_8-OCH_2, C_<12>-OCH_2C_<18>-OCH_2, Dicyclohexyl, 2C6-GDZ+OCH_2基をもつ各種クラウンエーテル化合物(10^<-2>M)を添加した油相に, BaCl_2水溶液(1M)を滴下した際の電気毛管曲線を描くと, γの低下はクラウン化合物の疏水性基の大きさと分極電圧の符号に影響され, 錯形成後のクラウン化合物はカチオン性活性剤に類似した挙動をとることが解った.
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