研究概要 |
本年は, 昨年に引き続きポリオキシエチレンノニルフェニネニエーテル(平均オキンエチレン基数:6)(NP-6)のシクロヘキサン溶液に硫酸またはアンモニア水溶液を可溶化した系でジルコニウムーn-ブトキシド(ZTB)またはバナジルトリイソプロポキシド(VIP)の加水分解によって, ZrO_2またはV_2O_5微粒子が生成するかを検討した. 先ず, NP-6/シクロヘキサン溶液におけるアンモニア及び硫酸水溶液の溶解状態を調べた. その結果, 可溶化領域は無色及び青色透明領域に分かれたが, 粒子は無色透明領域でのみ生成した. ZrO_2粒子は球状で, 単分散性にすぐれ, その大きさは直径で20〜60mmであった. 一方, V_2O_5粒子の場合はV_2O_5の前駆体であるメタバナジン酸アンモニウム(AMV)粒子が生成し, その形状は反応時間とともに球状から板状へと変化した. このAMV粒子は270〜290°Cで加熱することによってV_2O_5粒子となった. そこで, 活性剤に対する水, 硫酸及びアンモニアのモル比(それぞれRw, Rs及びRaと略記)を変えて粒子の大きさの変化を調べた. その結果, ZrO_2粒子の直径はRw及びRsとともに増大した. 一方, AMV粒子はRwとともに増大したが, Raには依存しなかった. ZrO_2粒子の生成機構は反応時間による粒子の収率, 粒径変化から活性剤溶液の単位体積中に含まれる粒子数から考察した. その結果, 粒子数は反応時間に依存しないことから, 粒子は反応初期に生成した結晶核へZTBが時間とともに縮合しながら生成してゆく過程であると推定した.
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