1.今年度に行なった研究によって得られた新たな知見、成果は次のとおりである。 (1)溶融N【H_4】F・2HF浴あるいは浴融N【H_4】F・HF浴を用いると、ガス導出管や氷冷トラップにN【H_4】Fが凝縮したり、炭素電極が崩壊したりするため、本研究用の電解浴としては不適当であることがわかった。 (2)溶触KF・2HF浴に【(NH_4)_2】Ta【F_7】を添加した場合の炭素電極上では、フッ化物イオンの放電反応に加えて、【(NH_4)_2】Ta【F_7】のアンモニウムイオンの電解フッ素化反応と、陰極において化学反応により生成したタンタルの低原子価塩の酸化反応が起こっている。 (3)溶融KF・2HF浴に【(NH_4)_2】NbO【F_5】を添加した場合の炭素電極上では、フッ化物イオンの放電反応、【(NH_4)_2】NbO【F_5】のアンモニウムイオンの電解フッ素化反応のほかに、【(NH_4)_2】NbO【F_5】自身も陽極酸化に関与する反応が起こっている。 (4)120℃における溶融KF・2HFへの【(NH_4)_2】Ta【F_7】または【(NH_4)_2】NbO【F_5】の溶解度は、それぞれ、約0.2mol%または約1mol%であった。 2.今後の研究に関する計画は次のとおりである。 (1)溶融KF・2HF浴に【(NH_4)_2】W【O_4】や【(NH_4)_2】Mo【O_4】を添加し、炭素電極を用いて電流密度(i)-電位(E)曲線を求める。 (2)溶融KF・2HF+N【H_4】F浴に【(NH_4)_2】W【O_4】や【(NH_4)_2】Mo【O_4】を添加し、炭素電極を用いて電流密度-電位曲線を求める。 (3)溶融KF・HF浴に【(NH_4)_2】W【O_4】や【(NH_4)_2】Mo【O_4】を添加し、炭素電極を用いて電流密度-電位曲線を用める。 (4)それぞれの場合について定電流電解し、陽極生成ガスなどの分析を行ない、電流密度-電位曲線測定結果と合わせてW【F_6】やMo【F_6】の生成反応機構を解析する。
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