研究課題/領域番号 |
61550616
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
庄野 達哉 京大, 工学部, 教授 (80025858)
|
研究分担者 |
大水 洋子 京都大学, 工学部, 教務職員 (20115968)
木瀬 直樹 京都大学, 工学部, 助手 (90177824)
柏村 成史 京都大学, 工学部, 助手 (50152632)
|
キーワード | 電極還元 / アニオンラジカル / 芳香族ケトンの分子内環化反応 / 立体選択的環化反応 |
研究概要 |
カルボニル基の電極還元で生成したアニオンラジカルが分子内の芳香核を攻撃し立体選択的に環化生成物を与える全く新しい型の反応について、その機構等を明らかにし、さらに有機合成への応用の可能性を探ることが本研究の目的であり、以下に記す成果を得た。 1.典型的な原料として5-フェニル-2-ペンタノンを選びこれを用いて様々な条件で電極還元反応を行ったところ、電極としてスズ板、溶媒としてイソプロパノール、支持塩として4級アンモニウム塩を用いた場合に最も良好な収率(70%)で環化生成物が得られることがわかった。得られた環化生成物はほとんどシス体のみであった。 2.上記の最適条件で種々の分子内に芳香核を有するケトンについて反応を行ったところ、いずれの場合にも立体選択的に環化生成物を与えた。側鎖上に置換基が存在してもかなり高い立体選択性(>90%)をもって一種類の生成物が生成した。芳香核上に電子供与性基が存在すると環化反応は阻害されるが、電子吸引性基が存在して環化反応は阻害されないことから、芳香核を攻撃する活性種はアニオン性をもっていると考えられ中性ラジカルではなくアニオンラジカルであると推定される。ナフタレンおよびアントラセン核を有するケトンについても同様の環化生成物を与えた。また、本反応は6員環形成には有効であるが、5または7員環を形成させることはできなかった。 3.本反応を利用して環状構造を持つテルペノイドおよびステロイド等の天然物の骨格合成についても検討する予定であったが、これについては本年度内に達成することはできなかったため今後の研究課題である。
|