研究概要 |
粘土層間化合物の活性は、層間内に柱として存在している金属酸化物の種類及び処理温度に依存した。処理温度の増加とともに活性は著しく減少したが、1,2,4-トリメチルベンゼンの異性化反応が抑制され、不均化反応の選択性が著しく向上した。本研究で用いたすべての粘土層間化合物で、テトラメチルベンゼン中で最小の有効分子径を有するデュレンが熱力学的平衡組成以上生成した。しかし、低温で処理した粘土層間化合物では1,2,4-トリメチルベンゼンの転化率の上昇とともにデュレンの異性化反応が進行し選択性が減少した。これに対して、【Al_2】【O_3】架橋モンモリロナイトを550℃以上の温度で処理した場合には、1,2,4トリメチルベンゼンの不均化生成物であるテトラメチルベンゼンの異性化反応が抑制され、高転化率でも高いデュレンの選択性が得られた。同様にZr【O_2】架橋モンモリロナイトの場合には500℃,【Cr_2】【O_3】架橋モンモリロナイトの場合には400℃で処理することによりテトラメチルベンゼンの異性化反応が抑制され、高いデュレンの選択性が得られた。吸着ピリジンのIR測定より、これら異性化反応の抑制はブレンステッド酸点の減少によると結論した。 異性化反応を抑制した場合のテトラメチルベンゼン中に占めるデュレンの割合は、【Cr_2】【O_3】架橋モンモリロナイトで88%と最も高く、ついでZr【O_2】架橋モンモリロナイトで85%、【Al_2】【O_3】架橋モンモリロナイトで82%となった。室温でのベンゼンの吸着量より、層間内の空間は、【Al_2】【O_3】>Zr【O_2】>【Cr_2】【O_3】架橋モンモリロナイトの順に狭くなっていることが明らかとなった。これら粘土層間化合物の層間距離はほぼ同一であることから、この層空間の大きさおよびデュレンの選択性の相異は柱の密度の差によるものと結論した。
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