研究概要 |
粘土層間化合物を触媒として1, 2, 4-トリメチルベンゼン(TrMB)の不均化反応を行ない, 1, 2, 4, 5-テトラメチルベンゼン(TeMB)生成の選択性と層構造の関係について検討した. ラポナイトおよびサポナイト層間化合物では層の面と辺あるいは辺と辺が凝集したカードハウス構造のためマクロポアが存在しており, このため1, 2, 4, 5-TeMB選択性(異性体中に占める割合)は低い. これに対して, モンモリロナイト層間化合物は層の面と面が積み重なりゼオライトと同様なミクロポア構造を有しているため, 高い1, 2, 4, 5-TeMB選択性を示した. モンモリロナイト層間化合物では1, 2, 4-TrMBの転化率の上昇とともに1, 2, 4, 5-TeMBの異性化反応が進行し選択性は減少した. しかし, 高温焼成(Bronsted酸点を減少させると1, 2, 4, 5-TeMBの異性化反応が抑制され高転化率でも高い1, 2, 4, 5-TeMB選択性が得られた. また, 1, 2, 4, 5-TeMB選択性は層間距離と柱の密度により変化し, 層間距離が0.6nmのクロミア架橋モンモリロナイトが約90%と最も高い1, 2, 4, 5-TeMB選択性を示した. カードハウス構造のラポナイトやサポナイト層間化合物では活性の経時変化はみられなかったが, ミクロポア構造のモンモリロナイト層間化合物の活性は経時的に著しく減少した. しかし, 極く少量のPdを担持し水素還元後キャリアガスに水素を用いて反応を行なうと, 活性劣化は完全に抑制された. モンモリロナイト層間化合物にPd/Al_2O_3を物理混合しても同様に活性劣化が抑制されたことからスピルオーバー水素が活性劣化を抑制していると考察した. スピルオーバー水素は触媒の種類に関係なく酸性質がLewis酸性の場合に活性劣化を抑制した. 以上のことより, ヒドリドとして存在するスピルオーバー水素とLewis酸点の反応が活性劣化の抑制に重要な役割を果たしていると結論した.
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