研究概要 |
N-長鎖アルキル置換(R_2)カルバゾールジオキサジン類(CD)の合成を行なった. まず, 従来法により[3](R_1=H, R_2=C_6〜C_8)を脱水素閉環してCDを得た. 従来法で得たCDの構造の知見を得るため[3](R_1=OCH_3, R_2=C_8〜C_<12>)を脱メタノール反応で線形構造の[4]を, 脱水素反応により非線形構造の[5]を合成し, 蒸着膜の紫外吸収スペクトルを比較して従来法で得たCDは線形構造でないことを明らかにした. また, 長鎖アルキル基の導入は触点や分解点を低下させ, 可視吸収スペクトル(VS)のλmaxを少し長波長シフトさせた. [4]はDMFにより再結晶が可能になった. 色材としては特に, 分散性が向上した. 本研究で合成したCDの蒸着膜は臭素ガスを作用させるとVSが長波長シフトし, これをアンモニア蒸気で処理すると元のスペクトルに戻る性質が認められた. 蒸着膜作成時に基板温度を100°Cまで変えて蒸着を試みたが, 変化は認められなかった. これらのCDは累積膜の作成ができることから蒸着膜と同様な性質が期待される. また, 光増感剤存在下でのCDの溶液に光照射を行なうと赤色または青色から無色に変化するため光反応生成物についても調べてゆく予定である.
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