研究概要 |
電解還元法並びにAl-Sn【Cl_2】系で調製した活性Sn(0)の比較 カルボニル化合物と塩化アリルよりホモアリルアルコールを合成する反応において、Al-Sn【Cl_2】系より調製した活性Sn(0)が電解還元法によるSn(0)より反応性に優れていることが明らかになった。そこで、Al-Sn【Cl_2】系により、(イ)α-ブロモケトンとアルデヒドの立体選択的アルドール反応、(ロ)ホルマリン水溶液を用いる、臭化アリル、α-ブロモケトンのヒドロキシメチル化、並びに(ハ)2-ブロモメチルアクリル酸アミドとアルデヒドとの反応を検討した。(イ)Al-Sn【Cl_2】系より発生させたSn(0)はα-ブロモケトンと反応して相当する錫化合物が生ずる。含プロトン性溶媒中では直ちに反応して、水素化体となるが、蒸留DMF中ではアルデヒドとSyn-選択的にアルドールを得た。この時、syn-antiの選択性並びに錫の循環性は、系内に存在させた微量の酢酸により、大きく変動した。これは、一端、動力学的に優先したsyn-体が、二価スズとの間で分子内キレートを作り、これを通して、エノール化の後、熱力学的に安定なanti-体に変換される機構を考えることが出来る。この時、酢酸はキレート化した錫を切り離し、相当するアルドール体を与え、Sn(OAC)Brとなり、これがアルミニウムにより、還元されて、活性Sn(0)が再生されると考えると良い。(ロ)ホモロゲーションの【C_1】単位として、ホルマリン水の活用は有用である。Al-Sn【Cl_2】系と臭化アリル誘導体とホルマリン水との反応で、相当するホモアリルアルコール体を得ることができた。(ハ)α及びβ-ヨノンの錫をメディエイターとする電解ピナコール化を行った。錫を用いない直接電解還元法ではα,β-不飽和ケトン、及びアルデヒドのピナコール化は収率が悪いとされていた。本研究では、α-体について70%、β-体について50%の収率を得た。
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