(1)本研究では、最初に、分子量11万のポリスチレンのギ酸エチル溶液について、ガラス封管内において曇点曲線を決定することを試みた。この結果、濃度3%(wt/wt)〜20%の範囲では、いかなる温度でも溶解しないことが判明した。これは、ポリスチレンの分子量が大きいために、LCST側とUCST側の曇点曲線が重なり、砂時計型の相図となって、上記の濃度範囲で溶解しなかったものと思われる。 (2)加圧下での相図を決定するために図1のような加圧セルを製作した。溶液は図2に示すような試料セル内に入れた。加圧による溶液の体積変化はテフロンチューブ部分の変形で吸収される。溶液セル内にはテフロン球が入れられている。加圧セル全体を回転させテフロン球をころがすことによって、加圧下において溶液を溶解させた。圧力は、ハイゼゲージ(〜200kg/【cm^2】)によって測定した。 (3)分子量9万のポリスチレンのギ酸エチル溶液の曇点圧力(一定温度で圧力を降下させたとき相分離の起こる圧力)の温度変化を図3に示した。この結果から、この系が、加圧によって溶解性が良くなり、上限及び下限臨界共溶点が現われることが判った。溶液の濃度を変化させての曇点圧力の測定が、現在、進行中であり、臨界濃度及び上限臨界共溶線と下限臨界共溶線の一致する点は、未だ決定されていない。
|